チラシの裏

暇だったので始めてみた。適当にいろいろかく。

数列空間の話

友人と関数解析の勉強をして、問題を思いついたので、texの打ち方の勉強も兼ねつつ、書いておこうと思います。

問題
{\displaystyle \{u_n\}_{n\in\mathbb{N}}}{\displaystyle \lim_{p \to \infty}(\sum_{n=1}^\infty |u_n|^p)^{\frac{1}{p}}\lt+\infty}を満たす複素数列とする。
この時、{\displaystyle \lim_{p \to \infty}(\sum_{n=1}^\infty |u_n|^p)^{\frac{1}{p}}= \sup_{n\in\mathbb{N}}|u_n|} を示せ。

<解答>
任意の {\displaystyle n\in\mathbb{N}}, {\displaystyle p\gt0} に対して、 {\displaystyle |u_n|=(|u_n|^p)^\frac{1}{p}\leq(\sum_{k=1}^\infty |u_k|^p)^{\frac{1}{p}}} より

{\displaystyle \sup_{n\in\mathbb{N}}|u_n| \leq \lim_{p \to \infty}(\sum_{n=1}^\infty |u_n|^p)^{\frac{1}{p}} } がなりたつ。

逆向きの不等号を示す。

{\displaystyle \lim_{p \to \infty}(\sum_{n=1}^\infty |u_n|^p)^{\frac{1}{p}} \lt +\infty} より、十分大きな {\displaystyle P\gt0} が存在して、
{\displaystyle(\sum_{n=1}^\infty |u_n|^P)^{\frac{1}{P}} \lt +\infty} がなりたつ。

この  {\displaystyle P} を固定する。

{\displaystyle \{(\sum_{k=1}^n |u_k|^P)^{\frac{1}{P}}\}_{n\in\mathbb{N}}} は上に有界な非減少実数列であるから、収束列である。

すなわち、任意の {\displaystyle \varepsilon \gt0} に対して、十分大きな {\displaystyle N\in\mathbb{N}} が存在して、
{\displaystyle (\sum_{n=N+1}^\infty |u_n|^P)^{\frac{1}{P}} \lt \frac{\varepsilon}{2}} がなりたつ。

この  {\displaystyle N} を固定する。

任意の {p \geq P} に対して、
{\displaystyle (\sum_{n=N+1}^\infty |u_n|^p)^{\frac{1}{p}}
\leq \sup_{n\geq N+1}|u_n|^{P(\frac{1}{P}-\frac{1}{p})}
(\sum_{n=N+1}^\infty |u_n|^P)^{\frac{1}{p}}
\leq
(\sum_{n=N+1}^\infty |u_n|^P)^{\frac{1}{P}}}
がなりたつから、任意の {p \geq P} に対して、
{\displaystyle (\sum_{n=N+1}^\infty |u_n|^p)^{\frac{1}{p}} \lt \frac{\varepsilon}{2}}
がなりたつ。

{\displaystyle \lim_{p \to \infty} N^{\frac{1}{p}} = 1} であるから、
ある  {\displaystyle P_N\gt0} が存在して、任意の  {\displaystyle p\gt P_N} に対して、

{\displaystyle N^{\frac{1}{p}} \lt 1 + \frac{\varepsilon}{{\displaystyle 2\sup_{n\in\mathbb{N}}|u_n|}}} がなりたつ。*1

このような  {\displaystyle p} に対して、

{\displaystyle (\sum_{n=1}^N |u_n|^p)^{\frac{1}{p}} \leq (\sum_{k=1}^N \sup_{n\in\mathbb{N}}|u_n|^p)^{\frac{1}{p}} = \sup_{n\in\mathbb{N}}|u_n|N^{\frac{1}{p}} \lt \sup_{n\in\mathbb{N}}|u_n| +  \frac{\varepsilon}{2}} がなりたつ。

よって、任意の  {\displaystyle p \gt \max \{P, P_N\}} に対して、

{\displaystyle (\sum_{n=1}^\infty |u_n|^p)^{\frac{1}{p}}
= (\sum_{n=1}^N |u_n|^p)^{\frac{1}{p}} +(\sum_{n=N+1}^\infty |u_n|^p)^{\frac{1}{p}}
\lt  \sup_{n\in\mathbb{N}}|u_n| + \varepsilon}

{\displaystyle \varepsilon \gt0} は、任意であったから、

{\displaystyle \lim_{p \to \infty}(\sum_{n=1}^\infty |u_n|^p)^{\frac{1}{p}}
\leq \sup_{n\in\mathbb{N}}|u_n| } がなりたつ。

以上で問題の証明が完了しました。

このような問題が生まれた経緯としては、数列空間 {l^p }の話が根底にあります。
数列空間 {l^p} とは、

{\displaystyle l^p=\{ \{u_n\}_{n\in\mathbb{N}} \subset \mathbb{C}
\mid(\sum_{n=1}^\infty |u_n|^p)^{\frac{1}{p}} \lt +\infty \}   (1\leq p \lt \infty)}

{\displaystyle l^\infty=\{ \{u_n\}_{n\in\mathbb{N}} \subset \mathbb{C}
\mid\sup_{n\in\mathbb{N}}|u_n| \lt +\infty \}}
という数列の空間です。

上の問題は、 {l^p}空間を {p \to \infty}とした場合、{l^\infty}とどのような関係にあるのか、というのが気になって出来た問題です。

{l^p}空間を {p \to \infty}とした空間を{\displaystyle \lim_{p \to \infty}l^p}と書くことにします。すなわち、

{\displaystyle \lim_{p \to \infty}l^p=\{ \{u_n\}_{n\in\mathbb{N}} \subset \mathbb{C}
\mid\lim_{p \to \infty}(\sum_{n=1}^\infty |u_n|^p)^{\frac{1}{p}} \lt +\infty \} }

と定義することにします。*2

上の問題の主張から、{\displaystyle \lim_{p \to \infty}l^p \subset l^\infty}が、分かります。

しかし、任意の {\displaystyle n\in\mathbb{N}}に対して、{\displaystyle u_n = 1} である数列 {\displaystyle \{u_n\}_{n\in\mathbb{N}}} を考えると、

{\displaystyle \lim_{p \to \infty}(\sum_{n=1}^\infty |u_n|^p)^{\frac{1}{p}} = +\infty },  {\displaystyle\sup_{n\in\mathbb{N}}|u_n| = 1 } より、

{\displaystyle \{u_n\}_{n\in\mathbb{N}} \in l^\infty } かつ {\displaystyle \{u_n\}_{n\in\mathbb{N}} \notin \lim_{p \to \infty}l^p } が分かります。

よって、{\displaystyle \lim_{p \to \infty}l^p \subsetneqq l^\infty} が成り立ちます。

一見別々の形で定義されている {l^p} 空間と {l^\infty} 空間に繋がりがある、というのはとても面白いことだと思いました。また面白いことがあったら書いていきたいです。

*1:{\displaystyle \sup_{n\in\mathbb{N}}|u_n|=0} の時、問題の等式は明らかに成り立つから、 {\displaystyle \sup_{n\in\mathbb{N}}|u_n|\neq 0} として考える。

*2:この定義は僕が勝手にしたものなので、実際にこのように使われているかは知りません。